2010年01月28日
Ⅰ.「ふるさと納税」とは
1.制度概要
みなさんは、「ふるさと納税」を御存知でしょうか。
これは平成20年からスタートした新しい制度で、簡単に言うと、個人が市区町村や都道府県へ寄附を行った場合に、その額が住民税所得割分の10%以下であれば、確定申告をすることにより、5,000円を超える部分について個人住民税と所得税が控除されるという仕組みです。
従って、形式的には寄附行為であって納税ではありませんが、結果として、自らの納めるべき税金の一部をふるさとなど応援したい自治体に振り替えて納税したことになるため、一般的に「ふるさと納税」と呼ばれています。また、寄附の対象となる自治体は、ふるさとに限らず、自らが応援・貢献したいと思う自治体であればどこでも構いませんし、複数の自治体に寄附することも可能です。
具体的な寄附および税減額のプロセスは以下の【図表①】のとおりです。
上記のような仕組みであることから、「ふるさと納税」制度には通常の税制度とは異なる以下のような特徴・意義があると思います。
(1)納税者から見て
第一に、納税額の一部(住民税所得割分の10%を上限)について、自らの意思で納税先を選択することが可能であること、第二に、その使いみちを各自治体が設定した使途目的の中から自ら指定することが可能であること、この二点が「ふるさと納税」制度の醍醐味とでも言うべき大きな特徴です。
実践してみると感じられると思いますが、この醍醐味は、通常の税金を取られる感覚ではない独特の心地よさを与えてくれます。
私たちにとって納税の場面は殆ど一方通行です。所得税や住民税は源泉徴収で、消費税は購買時に自動徴収。自動車税などは金額が通知され銀行から自動引き落としというのが一般的です。
ところが「ふるさと納税」は、自分の意志で金額を決めて納めに出向き、行政の方から感謝までされてしまうのです。
多くの方々は税金の使いみちに対して何らかの不平不満や希望があるでしょうが、この最大の原因は、税金の使いみちに対して我々が直接意見を言える機会がないため、単に取られている感覚のみが存在するからだと思います。
ところが「ふるさと納税」は全然違います。各自治体が設定した使途目的の中から、自らが希望する目的を選び、自ら金額を決定することができるのです。これが、自ら税金の使いみちを決めるという、この制度の大きな意義です。
(2)自治体から見て
寄附行為とは言え、自治体間での税源の取り合いの側面がある点が大きな特徴です。
各自治体、特に財政状況の厳しい地方の自治体にとっては税収増の絶好の機会と言えます。そもそも高校卒業まで税を使いサービスを提供して面倒を見てきたにも関わらず、いざ税を納めてくれる社会人になるに際しては多くの若者が生まれ育った地方を離れて就職するという現実に対して、支出と収入のバランスを欠くとの地方の主張から、「ふるさと納税」制度が導入されたことを考えれば、各自治体がこの制度をフルに活用しようとすることは当然の姿と言えるでしょう。
また、税金の使いみちを決められるということを自治体の側から捉えると、少し大袈裟な言い方かもしれませんが「税による投票」とでも言うべき面があります。使途目的の選択は、自治体の施策の良しあしを納税者が評価する仕組みと言えますので、「ふるさと納税」が定着・発展していくと、各自治体は、自らが決めた施策に対して納税額の多寡を通じて審判を受けるという緊張感を持つことになるのです。
みなさんは、「ふるさと納税」を御存知でしょうか。
これは平成20年からスタートした新しい制度で、簡単に言うと、個人が市区町村や都道府県へ寄附を行った場合に、その額が住民税所得割分の10%以下であれば、確定申告をすることにより、5,000円を超える部分について個人住民税と所得税が控除されるという仕組みです。
従って、形式的には寄附行為であって納税ではありませんが、結果として、自らの納めるべき税金の一部をふるさとなど応援したい自治体に振り替えて納税したことになるため、一般的に「ふるさと納税」と呼ばれています。また、寄附の対象となる自治体は、ふるさとに限らず、自らが応援・貢献したいと思う自治体であればどこでも構いませんし、複数の自治体に寄附することも可能です。
具体的な寄附および税減額のプロセスは以下の【図表①】のとおりです。
上記のような仕組みであることから、「ふるさと納税」制度には通常の税制度とは異なる以下のような特徴・意義があると思います。
(1)納税者から見て
第一に、納税額の一部(住民税所得割分の10%を上限)について、自らの意思で納税先を選択することが可能であること、第二に、その使いみちを各自治体が設定した使途目的の中から自ら指定することが可能であること、この二点が「ふるさと納税」制度の醍醐味とでも言うべき大きな特徴です。
実践してみると感じられると思いますが、この醍醐味は、通常の税金を取られる感覚ではない独特の心地よさを与えてくれます。
私たちにとって納税の場面は殆ど一方通行です。所得税や住民税は源泉徴収で、消費税は購買時に自動徴収。自動車税などは金額が通知され銀行から自動引き落としというのが一般的です。
ところが「ふるさと納税」は、自分の意志で金額を決めて納めに出向き、行政の方から感謝までされてしまうのです。
多くの方々は税金の使いみちに対して何らかの不平不満や希望があるでしょうが、この最大の原因は、税金の使いみちに対して我々が直接意見を言える機会がないため、単に取られている感覚のみが存在するからだと思います。
ところが「ふるさと納税」は全然違います。各自治体が設定した使途目的の中から、自らが希望する目的を選び、自ら金額を決定することができるのです。これが、自ら税金の使いみちを決めるという、この制度の大きな意義です。
(2)自治体から見て
寄附行為とは言え、自治体間での税源の取り合いの側面がある点が大きな特徴です。
各自治体、特に財政状況の厳しい地方の自治体にとっては税収増の絶好の機会と言えます。そもそも高校卒業まで税を使いサービスを提供して面倒を見てきたにも関わらず、いざ税を納めてくれる社会人になるに際しては多くの若者が生まれ育った地方を離れて就職するという現実に対して、支出と収入のバランスを欠くとの地方の主張から、「ふるさと納税」制度が導入されたことを考えれば、各自治体がこの制度をフルに活用しようとすることは当然の姿と言えるでしょう。
また、税金の使いみちを決められるということを自治体の側から捉えると、少し大袈裟な言い方かもしれませんが「税による投票」とでも言うべき面があります。使途目的の選択は、自治体の施策の良しあしを納税者が評価する仕組みと言えますので、「ふるさと納税」が定着・発展していくと、各自治体は、自らが決めた施策に対して納税額の多寡を通じて審判を受けるという緊張感を持つことになるのです。
Posted by 在京長崎応援団塾 at
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2010年01月28日
Ⅱ.ふるさと納税で長崎を応援する!
1.「在京長崎応援団塾」でのテーマ設定
そもそも私がこの塾に参加することとなったのも「ふるさと納税」のおかげです。
「ふるさと納税」に際して知り合いとなった長崎市東京事務所の神近所長から、塾の話を紹介されたことが参加のきっかけだからです。
「在京長崎応援団塾」という塾の名称は、参加者それぞれの長崎に対する思いを「応援」という形で一つの物に紡ごうとの趣旨です。
私のテーマはすぐに決まりました。「ふるさと納税で長崎を応援する!」。
これしかありません。
「ふるさと納税」は、上述したように、長崎市に何らかの縁のある東京居住者が直接的に長崎市を応援できる仕組みです。また、制度導入後間もないため、各自治体ともに試行錯誤しながら運用改善を図っているものと考えられますので、色々なアイディアを出せる可能性のあるテーマです。
一緒に研究する同志を募るなかで、長崎県庁でも勤務経験のある総務省の保科実さんが手を挙げてくれました。地方自治の現場、それも長崎で仕事をしてきた経験を持つ保科さんが一緒にやってくれることは、願ってもないことです。
2.初年(平成20年)実績を見て
私たちは研究を始めるに際して、まず、全国の「ふるさと納税」実績の中で、長崎県および長崎市がどういう位置にあるかを調べ、「平成20年 個人からの都道府県・市区町村に対する寄附金調べ」(総務省)から、【図表②】の結果を得ました。
「ふるさと納税」以外の寄附金も含めた実績であるため、「ふるさと納税」のみの厳密な実績ではありませんが、平成20年の自治体への寄附金の実績は、全国で6万6千人、110億円というものでした。
(※このうちのふるさと納税の実績は、全国で3万3千人、72億円であったことが平成22年1月の総務省発表で判明。)
自治体単位での評価は何を物差しにするか難しい面がありますが、例えば人口一人当たりで見ると、
・長崎県トータルでは、件数は全国平均より少し上、金額は全国平均より少し下
・長崎市では、件数および金額ともに全国平均より下という状況です。
この実績を見て、私たちは「長崎市を全国でも有数のふるさと納税実績自治体にする」ことを大きなターゲットとして、
1.長崎市の取り組み状況のレビュー、先進自治体へのアンケート調査の実施
2.アンケート結果の把握・分析、長崎市との比較
3.上記の把握・分析も踏まえた具体的提言の考察
の三点について研究を進めることにしました。
そもそも私がこの塾に参加することとなったのも「ふるさと納税」のおかげです。
「ふるさと納税」に際して知り合いとなった長崎市東京事務所の神近所長から、塾の話を紹介されたことが参加のきっかけだからです。
「在京長崎応援団塾」という塾の名称は、参加者それぞれの長崎に対する思いを「応援」という形で一つの物に紡ごうとの趣旨です。
私のテーマはすぐに決まりました。「ふるさと納税で長崎を応援する!」。
これしかありません。
「ふるさと納税」は、上述したように、長崎市に何らかの縁のある東京居住者が直接的に長崎市を応援できる仕組みです。また、制度導入後間もないため、各自治体ともに試行錯誤しながら運用改善を図っているものと考えられますので、色々なアイディアを出せる可能性のあるテーマです。
一緒に研究する同志を募るなかで、長崎県庁でも勤務経験のある総務省の保科実さんが手を挙げてくれました。地方自治の現場、それも長崎で仕事をしてきた経験を持つ保科さんが一緒にやってくれることは、願ってもないことです。
2.初年(平成20年)実績を見て
私たちは研究を始めるに際して、まず、全国の「ふるさと納税」実績の中で、長崎県および長崎市がどういう位置にあるかを調べ、「平成20年 個人からの都道府県・市区町村に対する寄附金調べ」(総務省)から、【図表②】の結果を得ました。
「ふるさと納税」以外の寄附金も含めた実績であるため、「ふるさと納税」のみの厳密な実績ではありませんが、平成20年の自治体への寄附金の実績は、全国で6万6千人、110億円というものでした。
(※このうちのふるさと納税の実績は、全国で3万3千人、72億円であったことが平成22年1月の総務省発表で判明。)
自治体単位での評価は何を物差しにするか難しい面がありますが、例えば人口一人当たりで見ると、
・長崎県トータルでは、件数は全国平均より少し上、金額は全国平均より少し下
・長崎市では、件数および金額ともに全国平均より下という状況です。
この実績を見て、私たちは「長崎市を全国でも有数のふるさと納税実績自治体にする」ことを大きなターゲットとして、
1.長崎市の取り組み状況のレビュー、先進自治体へのアンケート調査の実施
2.アンケート結果の把握・分析、長崎市との比較
3.上記の把握・分析も踏まえた具体的提言の考察
の三点について研究を進めることにしました。
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2010年01月28日
Ⅲ.研究内容その1・・・
Ⅲ.研究内容その1(長崎市の実績把握・分析~アンケートの実施)
1.長崎市の実績
長崎市の1年目の実績を少し詳細に振り返ってみます。
(1)名称
“がんばらんば長崎市”応援寄附金
(2)平成20年実績
7つの使途目的で48件・2,694千円の実績でした。詳細は次頁の【図表③】を参照下さい。
最初に断っておく必要がありますが、これは【図表②】に記載した数値と異なっています。【図表②】は“がんばらんば長崎市”応援寄附金以外の寄附金も含んでいるため、正確な「ふるさと納税」実績は上記の48件・2,694千円となるのです。
皆さんは、この実績をどう評価されますか。
他の自治体と比較しての評価もさることながら、全国に在住する長崎市出身者の規模、さらには長崎市の知名度からすれば、非常に寂しい結果と言わざるを得ないのではないでしょうか。
金額の多寡が問題ではなく、48件(人)という実績は桁が一つか二つ違うのではというのが、私たちの率直な印象でした。
また先ほど、「ふるさと納税」は税源の取り合いという側面があると申し上げましたが、現に「平成21年度寄附金税額控除に関する調べ」(総務省)を見ると、長崎市在住の方で「ふるさと納税」をされた方が2,407千円の市町村民税の税額控除を受けています。
これは、長崎市在住の方の「ふるさと納税」により長崎市の税収が2,407千円減少したことを意味します。
上記の「ふるさと納税」による収入2,694千円と比べると殆ど均衡した数値です。
県庁所在地である長崎市には、長崎県内の他市町出身の方が多くいらっしゃるでしょうから、そうした方々が出身の市町に「ふるさと納税」をされたものと想像されます。
つまり、「ふるさと納税」制度は、長崎市のような地方の中心となる都市に取っては、税収増ばかりをもたらすことにはならないのです。
導入初年の実績のみで判断するのは早計かもしれませんが、こうした実績を見ると、行政としてもっと積極的な取組姿勢があっても良いと思います。
(3)制度利用の促進を図るための取組
PR方法や納税(寄附)者への特典付与などの取組ですが、これについては、先進自治体との比較の中で紹介したいと思います。
2.先進市町村へのアンケートの実施
(1)はじめに ~入口での苦労
上述した実績を踏まえ、私たちは、「ふるさと納税」先進市町村を抽出し、そうした自治体の取り組みをアンケート形式で調査することにしました。「ふるさと納税」“勝利の方程式”をつかもうとの目的です。
意気込みはよしですが、これを具体的に進めるには二つの大きな課題がありました。
第一に、アンケート先と内容の絞り込みです。数多くの自治体に色々な項目について伺いたいところですが、メンバーは二人のみ。そう欲張ったことはできません。
対象自治体を相当に絞り込んだうえで、アンケート内容もポイントと思われる項目に絞り、かつ集約・分析のし易い選択肢形式を中心とせざるを得ませんでした。
第二に、アンケート調査の方法です。
「在京長崎応援団」の活動の一環という触れ込みでは、忙しい自治体がまともに相手にしてくれません。思案した挙句、長崎市東京事務所の神近所長と茨木係長に相談したところ快くお骨折り頂き、長崎市財政課を通じてアンケートを実施することができる運びとなりました。
長崎市市役所の関係の方々には本当にお世話になりました。
(2)アンケート対象自治体の抽出
先ほども紹介した「平成20年個人からの都道府県・市区町村に対する寄附金調べ」を基に、
1.人口あたりの寄付件数上位20位
2.寄付件数上位10位(政令市を除く)
3.人口あたりの寄付金額上位10位(但し、寄付件数が20件以下のものは除外)
の何れかの条件に該当する、以下の29自治体(8市10町11村)を対象としました。
北海道/東川町、滝上町、斜里町
青森県/平内町 岩手県/一関市、奥州市
新潟県/十日町市 茨城県/阿見町 山梨県/早川町、小菅村
長野県/根羽村、北相木村、王滝村、泰阜村、飯山市 愛知県/豊橋市
京都府/伊根町 兵庫県/香美町 奈良県/野迫川村、吉野町 和歌山県/北山村
島根県/海士町、出雲市 岡山県/新庄村
福岡県/大牟田市 熊本県/熊本市 鹿児島県/三島村、宇検村 沖縄県/座間味村
(3)アンケート内容
1.制度概要に関する質問
(1)特段の名称を付けていますか。付けている場合は、その名称を教えて下さい。
(2)設定されている使い道(使途目的)の具体的な内容について教えて下さい。
(3)2008年のふるさと納税(以下「納税」という。)実績について教えて下さい。
①金額
②件数
2.制度利用の促進を図るための取り組みに関する質問
(1)制度をPR・周知する手段として実施している取り組みを教えて下さい。
ア)ホームページでの紹介
イ)市報等での紹介
ウ)リーフレット・ポスター等の作成・配布
エ)高校同窓会等を通じたPR
オ)推進事務局等の特別な組織の設置
カ)その他(具体的に教えて下さい。)
(2)納税された方に対して何らかの恩典を付与していますか。付与していれば、その内容を教えて下さい。
(3)納税の利便性向上のために実施している取り組みを教えて下さい。
ア)クレジットカ-ドでの支払い可
イ)3大メガバンク(三菱東京UFJ、みずほ、三井住友)での支払い可
ウ)その他
(4)納税された方に具体的な使途内容をどのような形でフィードバックされていますか。
(フィードバックされる予定ですか。)
1.長崎市の実績
長崎市の1年目の実績を少し詳細に振り返ってみます。
(1)名称
“がんばらんば長崎市”応援寄附金
(2)平成20年実績
7つの使途目的で48件・2,694千円の実績でした。詳細は次頁の【図表③】を参照下さい。
最初に断っておく必要がありますが、これは【図表②】に記載した数値と異なっています。【図表②】は“がんばらんば長崎市”応援寄附金以外の寄附金も含んでいるため、正確な「ふるさと納税」実績は上記の48件・2,694千円となるのです。
皆さんは、この実績をどう評価されますか。
他の自治体と比較しての評価もさることながら、全国に在住する長崎市出身者の規模、さらには長崎市の知名度からすれば、非常に寂しい結果と言わざるを得ないのではないでしょうか。
金額の多寡が問題ではなく、48件(人)という実績は桁が一つか二つ違うのではというのが、私たちの率直な印象でした。
また先ほど、「ふるさと納税」は税源の取り合いという側面があると申し上げましたが、現に「平成21年度寄附金税額控除に関する調べ」(総務省)を見ると、長崎市在住の方で「ふるさと納税」をされた方が2,407千円の市町村民税の税額控除を受けています。
これは、長崎市在住の方の「ふるさと納税」により長崎市の税収が2,407千円減少したことを意味します。
上記の「ふるさと納税」による収入2,694千円と比べると殆ど均衡した数値です。
県庁所在地である長崎市には、長崎県内の他市町出身の方が多くいらっしゃるでしょうから、そうした方々が出身の市町に「ふるさと納税」をされたものと想像されます。
つまり、「ふるさと納税」制度は、長崎市のような地方の中心となる都市に取っては、税収増ばかりをもたらすことにはならないのです。
導入初年の実績のみで判断するのは早計かもしれませんが、こうした実績を見ると、行政としてもっと積極的な取組姿勢があっても良いと思います。
(3)制度利用の促進を図るための取組
PR方法や納税(寄附)者への特典付与などの取組ですが、これについては、先進自治体との比較の中で紹介したいと思います。
2.先進市町村へのアンケートの実施
(1)はじめに ~入口での苦労
上述した実績を踏まえ、私たちは、「ふるさと納税」先進市町村を抽出し、そうした自治体の取り組みをアンケート形式で調査することにしました。「ふるさと納税」“勝利の方程式”をつかもうとの目的です。
意気込みはよしですが、これを具体的に進めるには二つの大きな課題がありました。
第一に、アンケート先と内容の絞り込みです。数多くの自治体に色々な項目について伺いたいところですが、メンバーは二人のみ。そう欲張ったことはできません。
対象自治体を相当に絞り込んだうえで、アンケート内容もポイントと思われる項目に絞り、かつ集約・分析のし易い選択肢形式を中心とせざるを得ませんでした。
第二に、アンケート調査の方法です。
「在京長崎応援団」の活動の一環という触れ込みでは、忙しい自治体がまともに相手にしてくれません。思案した挙句、長崎市東京事務所の神近所長と茨木係長に相談したところ快くお骨折り頂き、長崎市財政課を通じてアンケートを実施することができる運びとなりました。
長崎市市役所の関係の方々には本当にお世話になりました。
(2)アンケート対象自治体の抽出
先ほども紹介した「平成20年個人からの都道府県・市区町村に対する寄附金調べ」を基に、
1.人口あたりの寄付件数上位20位
2.寄付件数上位10位(政令市を除く)
3.人口あたりの寄付金額上位10位(但し、寄付件数が20件以下のものは除外)
の何れかの条件に該当する、以下の29自治体(8市10町11村)を対象としました。
北海道/東川町、滝上町、斜里町
青森県/平内町 岩手県/一関市、奥州市
新潟県/十日町市 茨城県/阿見町 山梨県/早川町、小菅村
長野県/根羽村、北相木村、王滝村、泰阜村、飯山市 愛知県/豊橋市
京都府/伊根町 兵庫県/香美町 奈良県/野迫川村、吉野町 和歌山県/北山村
島根県/海士町、出雲市 岡山県/新庄村
福岡県/大牟田市 熊本県/熊本市 鹿児島県/三島村、宇検村 沖縄県/座間味村
(3)アンケート内容
1.制度概要に関する質問
(1)特段の名称を付けていますか。付けている場合は、その名称を教えて下さい。
(2)設定されている使い道(使途目的)の具体的な内容について教えて下さい。
(3)2008年のふるさと納税(以下「納税」という。)実績について教えて下さい。
①金額
②件数
2.制度利用の促進を図るための取り組みに関する質問
(1)制度をPR・周知する手段として実施している取り組みを教えて下さい。
ア)ホームページでの紹介
イ)市報等での紹介
ウ)リーフレット・ポスター等の作成・配布
エ)高校同窓会等を通じたPR
オ)推進事務局等の特別な組織の設置
カ)その他(具体的に教えて下さい。)
(2)納税された方に対して何らかの恩典を付与していますか。付与していれば、その内容を教えて下さい。
(3)納税の利便性向上のために実施している取り組みを教えて下さい。
ア)クレジットカ-ドでの支払い可
イ)3大メガバンク(三菱東京UFJ、みずほ、三井住友)での支払い可
ウ)その他
(4)納税された方に具体的な使途内容をどのような形でフィードバックされていますか。
(フィードバックされる予定ですか。)
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2010年01月28日
Ⅳ.研究内容その2・・・
Ⅳ.研究内容その2(アンケート結果の把握・分析~長崎市との比較)
1.思わぬ落とし穴
上述のとおり29の自治体にアンケートをお願いしましたが、以下の理由から結果的には12の自治体の分については活用を断念せざるを得ませんでした。
1.協力いただけなかった自治体 → 4
2.実際の「ふるさと納税」実績が乖離していた自治体 → 8
上記2.については少しコメントする必要があります。
既に触れましたが、「個人からの都道府県・市区町村に対する寄附金調べ」は、「ふるさと納税」以外の個人寄附金も含んだ数値であるため、正確には同制度の実績とは異なります(長崎市の場合、同寄附金調べの実績は97件/5,402千円であるのに対して、「ふるさと納税」実績は48 件/2,694千円)。
しかし他に良いデータもないなかで、傾向として大きな齟齬はないだろうとの判断のもと、同寄附金調べを基に、先進自治体を抽出しました。ところが、8自治体については、何らかの理由(特定事業のために募集された寄附等と推察)により「ふるさと納税」以外の寄附がかなりの部分を占めていて、アンケートで改めて把握した実績は驚くほど僅少だったのです。
2.長崎市と17自治体との取組比較
アンケート項目毎に、特徴ある取組を行っている自治体とその概要について、長崎市での取組と比較する形でまとめたものが、次頁の【図表④】です。
(1)名称
殆どの自治体で特別の名称を設定していて、何れも各自治体の特色を表しています。
独断ですが、“がんばらんば長崎市”という名称の印象度は相当に高い方だと思います。
(2)使途目的
この項目は、「ふるさと納税」の最も特徴的なポイントですので、これをどう設定しているかを把握することが、今回アンケートの最も重要な目的とも言えます。私たちは、特に使途目的の幅広さと具体性の二点に着目してみました。
幅広さについては、各自治体ともに若干の違いはあれ、観光・地域振興から、自然等環境整備、教育、福祉といった市民生活に密着した項目まで、かなり幅広く担保していました。
長崎市の場合も、長崎市らしい平和推進や歴史を軸とした観光振興から、教育、福祉等の市民生活に身近なものまで幅広く設定されており、「寄附したいと思う項目が見当たらない」といった不満が出るような状況には思えません。
一方具体性については、【図表④】に挙げたように、いくつかの市町村で当該市町村出身者等が高い興味を持ってくれそうな個別具体的な使途目的を設定している例がありました。
長崎市の場合、平和推進、観光振興についてはかなり具体性が高いと思いますが、教育・子育て支援等に関しては、もう少し具体性を高める工夫が必要ではないでしょうか(【図表③】参照。)。
人づくりあってこそのまちづくりです。
行政の方で知恵がなければ、寄附者にアイディアを募るといった工夫があっても良いと思います。
また、そうした工夫が寄附者を増やすことにも繋がると考えます。
一つの面白い事例として茨城県阿見町の事例が挙げられます。
同町の使途目的は予科練平和記念館整備のみです。
同町は旧海軍飛行練習部いわゆる予科練が設置されていた所で、そのような歴史的な背景のなか同記念館の整備を進めることを目的に、平成19年度から同記念館整備管理基金を設置して寄附を募ってきた経緯があり、「ふるさと納税」についても同目的のみに限定しているとのことでした。
阿見町のこの事例は、「ふるさと納税」の今後の発展を考えるうえで一つの貴重な示唆かもしれません。
(3)PR・周知
PRや周知は、実績を上げるために極めて重要な取り組みです。
特に、大票田とも言うべき東京等大都市圏に住む長崎市出身者や長崎市に縁のある方々への働きかけが、大きなポイントを握っています。
長崎市でも実施しているHPや市報等での紹介、リーフレットやポスター等の作成、高校同窓会等でのPRは、いずれの自治体でも実施している三点セットのようです。しかしながら、こうした取り組みは多数を相手にしたマスコミ的手法であり、実際に行動を起こしてもらおうと働きかけるという観点からは、淡泊な印象は否めません。
私たちは、的を絞ったダイレクトメール的な方法はないものかと考えてみました。例えば、滝上町の「ふるさと通信」は面白い事例だと思いますが、長崎市の規模ではちょっと難しい施策です。費用対効果を考えると、そう多くのお金もかけらませんし、個人情報保護が厳しい昨今、個人データを集めるのもかなりの苦労です。
そこで私たちが考えついたのが、市役所から長崎市内家庭にダイレクトに年賀状を送り、「ふるさと納税」をお願いするという方法です。
年末年始であれば多くの方々が帰省しており、普段は長崎市を離れて住んでいる方の目に触れる可能性大です。
デザイン等に工夫を凝らすこと(例えば、福山雅治さんに登場して頂く)で、強烈な印象を与えることもできます。さらに、一人立ちしている子弟を持つ可能性の高い年齢層、例えば世帯主が50才以上の家庭に絞って郵送すれば、費用の節約も可能です。
また、少し視点の異なる仕組みを採用している事例を紹介したいと思います。
自治体間の税源の取り合いのなかで、鹿児島県では、県と市が一体となった取組を実施しています。具体的には、県単位で「ふるさと納税」窓口を一本化し、寄せられた金額総額については、
1.県への配分:市町村トータルへの配分=4:6
2.市町村トータル分の各市町村への配分については、寄附者の指定を基本に決定
という内容です。
ややもすれば県と市町村で重複した活動となりがちであるなかで、こうした方法は効率的であり、また納税者の立場からしても判り易い取組と言えそうです。
(4)特典付与
半数以上の自治体が、特産品や自治体内施設利用優待券等を送付しています。現実的にはこの辺りの工夫が納税獲得実績を左右しているということもあるでしょう。
こうした「物で釣る」方式には賛否両論あるかと思います。「背に腹は代えられない」と考えれば、こういう方法があることを決して否定はしませんが、私たちは“質実剛健、中身で勝負”の長崎市のやり方に全面的に賛同します。皆さんはどうでしょうか。
そうしたなかで、阿見町の予科練平和記念館芳名版設置や、長野県飯山市の新幹線駅関連施設刻銘は、使途目的と絡めた面白い事例だと思います。
(5)利便性向上
東京で生活している者の立場からすると、三大メガバンクでの振込やクレジットカード使用が可能であることは、利便性の観点からありがたい施策です。特にクレジットカードでの支払いを現状で導入している自治体はそう多くありませんが、長崎市では平成21年より早速導入しており、迅速な対応として評価できると思います。
一部金融機関での振込手数料を市町村が負担している事例も複数見られました。
金額的な負担軽減はわずかですが、納税という観点からは無料が当然だというのが寄附者の率直な感情だと思います。
長崎市の場合も全国規模で利用できる金融機関としては、ゆうちょ銀行とみずほ銀行について、振込手数料が自治体負担となっていますが、これをさらに三大メガバンク等にも拡大することを期待します。
(6)フィードバック
「税の使いみちが見える」ことが「ふるさと納税」制度の大きな特色ですので、実績のフィードバックは、使途目的の設定とコラボレーションした重要な施策と考えます。
しかしながら現状においては制度を導入して間もないこともあり、長崎市も含めて寄附実績の送付やHPでの公開というマスコミ的手法の域を出ていません。
今後は、使途目的として設定された個別事業の具体的な進捗状況をタイムリーにフィードバックすることなどが必要ではないでしょうか。
また、そうしたフィードバックにおいては、無味乾燥な文章のみによるものではなく、ビジュアルであったり、当該事業で恩恵を受けた方々の生の声を紹介したりといった、寄附された方を心地よくしリピーターとして取り込むぐらいの意気込みの感じられる工夫を織り込んでほしいと思います。
1.思わぬ落とし穴
上述のとおり29の自治体にアンケートをお願いしましたが、以下の理由から結果的には12の自治体の分については活用を断念せざるを得ませんでした。
1.協力いただけなかった自治体 → 4
2.実際の「ふるさと納税」実績が乖離していた自治体 → 8
上記2.については少しコメントする必要があります。
既に触れましたが、「個人からの都道府県・市区町村に対する寄附金調べ」は、「ふるさと納税」以外の個人寄附金も含んだ数値であるため、正確には同制度の実績とは異なります(長崎市の場合、同寄附金調べの実績は97件/5,402千円であるのに対して、「ふるさと納税」実績は48 件/2,694千円)。
しかし他に良いデータもないなかで、傾向として大きな齟齬はないだろうとの判断のもと、同寄附金調べを基に、先進自治体を抽出しました。ところが、8自治体については、何らかの理由(特定事業のために募集された寄附等と推察)により「ふるさと納税」以外の寄附がかなりの部分を占めていて、アンケートで改めて把握した実績は驚くほど僅少だったのです。
2.長崎市と17自治体との取組比較
アンケート項目毎に、特徴ある取組を行っている自治体とその概要について、長崎市での取組と比較する形でまとめたものが、次頁の【図表④】です。
(1)名称
殆どの自治体で特別の名称を設定していて、何れも各自治体の特色を表しています。
独断ですが、“がんばらんば長崎市”という名称の印象度は相当に高い方だと思います。
(2)使途目的
この項目は、「ふるさと納税」の最も特徴的なポイントですので、これをどう設定しているかを把握することが、今回アンケートの最も重要な目的とも言えます。私たちは、特に使途目的の幅広さと具体性の二点に着目してみました。
幅広さについては、各自治体ともに若干の違いはあれ、観光・地域振興から、自然等環境整備、教育、福祉といった市民生活に密着した項目まで、かなり幅広く担保していました。
長崎市の場合も、長崎市らしい平和推進や歴史を軸とした観光振興から、教育、福祉等の市民生活に身近なものまで幅広く設定されており、「寄附したいと思う項目が見当たらない」といった不満が出るような状況には思えません。
一方具体性については、【図表④】に挙げたように、いくつかの市町村で当該市町村出身者等が高い興味を持ってくれそうな個別具体的な使途目的を設定している例がありました。
長崎市の場合、平和推進、観光振興についてはかなり具体性が高いと思いますが、教育・子育て支援等に関しては、もう少し具体性を高める工夫が必要ではないでしょうか(【図表③】参照。)。
人づくりあってこそのまちづくりです。
行政の方で知恵がなければ、寄附者にアイディアを募るといった工夫があっても良いと思います。
また、そうした工夫が寄附者を増やすことにも繋がると考えます。
一つの面白い事例として茨城県阿見町の事例が挙げられます。
同町の使途目的は予科練平和記念館整備のみです。
同町は旧海軍飛行練習部いわゆる予科練が設置されていた所で、そのような歴史的な背景のなか同記念館の整備を進めることを目的に、平成19年度から同記念館整備管理基金を設置して寄附を募ってきた経緯があり、「ふるさと納税」についても同目的のみに限定しているとのことでした。
阿見町のこの事例は、「ふるさと納税」の今後の発展を考えるうえで一つの貴重な示唆かもしれません。
(3)PR・周知
PRや周知は、実績を上げるために極めて重要な取り組みです。
特に、大票田とも言うべき東京等大都市圏に住む長崎市出身者や長崎市に縁のある方々への働きかけが、大きなポイントを握っています。
長崎市でも実施しているHPや市報等での紹介、リーフレットやポスター等の作成、高校同窓会等でのPRは、いずれの自治体でも実施している三点セットのようです。しかしながら、こうした取り組みは多数を相手にしたマスコミ的手法であり、実際に行動を起こしてもらおうと働きかけるという観点からは、淡泊な印象は否めません。
私たちは、的を絞ったダイレクトメール的な方法はないものかと考えてみました。例えば、滝上町の「ふるさと通信」は面白い事例だと思いますが、長崎市の規模ではちょっと難しい施策です。費用対効果を考えると、そう多くのお金もかけらませんし、個人情報保護が厳しい昨今、個人データを集めるのもかなりの苦労です。
そこで私たちが考えついたのが、市役所から長崎市内家庭にダイレクトに年賀状を送り、「ふるさと納税」をお願いするという方法です。
年末年始であれば多くの方々が帰省しており、普段は長崎市を離れて住んでいる方の目に触れる可能性大です。
デザイン等に工夫を凝らすこと(例えば、福山雅治さんに登場して頂く)で、強烈な印象を与えることもできます。さらに、一人立ちしている子弟を持つ可能性の高い年齢層、例えば世帯主が50才以上の家庭に絞って郵送すれば、費用の節約も可能です。
また、少し視点の異なる仕組みを採用している事例を紹介したいと思います。
自治体間の税源の取り合いのなかで、鹿児島県では、県と市が一体となった取組を実施しています。具体的には、県単位で「ふるさと納税」窓口を一本化し、寄せられた金額総額については、
1.県への配分:市町村トータルへの配分=4:6
2.市町村トータル分の各市町村への配分については、寄附者の指定を基本に決定
という内容です。
ややもすれば県と市町村で重複した活動となりがちであるなかで、こうした方法は効率的であり、また納税者の立場からしても判り易い取組と言えそうです。
(4)特典付与
半数以上の自治体が、特産品や自治体内施設利用優待券等を送付しています。現実的にはこの辺りの工夫が納税獲得実績を左右しているということもあるでしょう。
こうした「物で釣る」方式には賛否両論あるかと思います。「背に腹は代えられない」と考えれば、こういう方法があることを決して否定はしませんが、私たちは“質実剛健、中身で勝負”の長崎市のやり方に全面的に賛同します。皆さんはどうでしょうか。
そうしたなかで、阿見町の予科練平和記念館芳名版設置や、長野県飯山市の新幹線駅関連施設刻銘は、使途目的と絡めた面白い事例だと思います。
(5)利便性向上
東京で生活している者の立場からすると、三大メガバンクでの振込やクレジットカード使用が可能であることは、利便性の観点からありがたい施策です。特にクレジットカードでの支払いを現状で導入している自治体はそう多くありませんが、長崎市では平成21年より早速導入しており、迅速な対応として評価できると思います。
一部金融機関での振込手数料を市町村が負担している事例も複数見られました。
金額的な負担軽減はわずかですが、納税という観点からは無料が当然だというのが寄附者の率直な感情だと思います。
長崎市の場合も全国規模で利用できる金融機関としては、ゆうちょ銀行とみずほ銀行について、振込手数料が自治体負担となっていますが、これをさらに三大メガバンク等にも拡大することを期待します。
(6)フィードバック
「税の使いみちが見える」ことが「ふるさと納税」制度の大きな特色ですので、実績のフィードバックは、使途目的の設定とコラボレーションした重要な施策と考えます。
しかしながら現状においては制度を導入して間もないこともあり、長崎市も含めて寄附実績の送付やHPでの公開というマスコミ的手法の域を出ていません。
今後は、使途目的として設定された個別事業の具体的な進捗状況をタイムリーにフィードバックすることなどが必要ではないでしょうか。
また、そうしたフィードバックにおいては、無味乾燥な文章のみによるものではなく、ビジュアルであったり、当該事業で恩恵を受けた方々の生の声を紹介したりといった、寄附された方を心地よくしリピーターとして取り込むぐらいの意気込みの感じられる工夫を織り込んでほしいと思います。
Posted by 在京長崎応援団塾 at
03:05
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2010年01月28日
Ⅴ.まとめ
1.具体的なアイディアの提言
以上、限られたデータからではありますが、「ふるさと納税」先進自治体の事例との比較を中心に、私たちなりに長崎市の取組に対する評価・提案について述べさせてもらいました。
もう一度ポイントをまとめると、以下のとおりです。
(1)評価できる点
・名称 “がんばらんば長崎市”応援寄附金
・使途目的の幅広さ、長崎らしさ
・特産品の贈呈などの即物的な特典付与がない質実剛健さ
・クレジットカードが利用できる点
(2)今後の改善に向けた提案
1.寄附者を増やすことにも繋がる取組の充実
・「教育」の使途目的における具体的な事業の設定
・都市目的として、具体的な事業の募集
・使途目的、具体的な事業とリンクしたフィードバックの実施
2.大都市圏在住者に的を絞ったダイレクトなPRの実施
例)世帯主が50才以上の長崎市内家庭への年賀状送付
3.利便性向上施策の充実
・振込手数料無料の金融機関拡大
2.長崎市出身者や長崎市に縁のある人の気持ちをつかめ!
稚拙ながら、いくつかの具体的な提案をさせて頂きました。
もちろん、「ふるさと納税」の浸透・拡大のためには、こうした自治体での細かな工夫と並行して、自治体への寄附を源泉徴収の対象とすることにより、寄附額を確定申告する手間を省くといった国レベルでの制度見直しが必要であることに疑いの余地はありません。
しかしながら、そうした制度見直しを行うだけで充分でしょうか。
例えば期日前投票制度の充実等を図って選挙の投票率は向上傾向にはあるようですが、それでも選挙に行かない人は大勢います。
私たちは、多くの事柄と同様に、「ふるさと納税」についても制度の不備を論う前に、小さくても皆の興味を掻き立てるような具体的な取組を地道に積み重ねることこそが、王道だと考えます。
冒頭でも述べましたが、「ふるさと納税」制度は、寄附行為とは言え自治体間の税源の取り合いという側面があります。
地方の各自治体が大票田とも言うべき東京等大都市圏での獲得活動を展開するわけですから、長崎市出身者はもちろんのこと、長崎市に縁のある方々の心に響く内容を企画し、それを的確にPRすることが極めて重要なポイントとなります。
企画内容は正に各自治体の知恵の絞りどころです。
「ふるさと納税」独特の醍醐味や心地よさに訴える施策を工夫し、それをダイレクトに届く形でPRすることが一番効果的です。応援したくなるような具体的な使途目的と事業を設定し、それをタイムリーなフィードバックを含めて的確かつ直接的にPRする、そうした地道なやり方にこそ、この仕組みが末長く発展するキーファクターがあると思います。
でもやはり「ふるさと納税」の主役は、長崎市を応援したいとの熱き思いを持つ皆さんであり、私たちです。
これだと思う使途目的を選んで、是非にみんなで長崎市を応援しようではありませんか。
以上、限られたデータからではありますが、「ふるさと納税」先進自治体の事例との比較を中心に、私たちなりに長崎市の取組に対する評価・提案について述べさせてもらいました。
もう一度ポイントをまとめると、以下のとおりです。
(1)評価できる点
・名称 “がんばらんば長崎市”応援寄附金
・使途目的の幅広さ、長崎らしさ
・特産品の贈呈などの即物的な特典付与がない質実剛健さ
・クレジットカードが利用できる点
(2)今後の改善に向けた提案
1.寄附者を増やすことにも繋がる取組の充実
・「教育」の使途目的における具体的な事業の設定
・都市目的として、具体的な事業の募集
・使途目的、具体的な事業とリンクしたフィードバックの実施
2.大都市圏在住者に的を絞ったダイレクトなPRの実施
例)世帯主が50才以上の長崎市内家庭への年賀状送付
3.利便性向上施策の充実
・振込手数料無料の金融機関拡大
2.長崎市出身者や長崎市に縁のある人の気持ちをつかめ!
稚拙ながら、いくつかの具体的な提案をさせて頂きました。
もちろん、「ふるさと納税」の浸透・拡大のためには、こうした自治体での細かな工夫と並行して、自治体への寄附を源泉徴収の対象とすることにより、寄附額を確定申告する手間を省くといった国レベルでの制度見直しが必要であることに疑いの余地はありません。
しかしながら、そうした制度見直しを行うだけで充分でしょうか。
例えば期日前投票制度の充実等を図って選挙の投票率は向上傾向にはあるようですが、それでも選挙に行かない人は大勢います。
私たちは、多くの事柄と同様に、「ふるさと納税」についても制度の不備を論う前に、小さくても皆の興味を掻き立てるような具体的な取組を地道に積み重ねることこそが、王道だと考えます。
冒頭でも述べましたが、「ふるさと納税」制度は、寄附行為とは言え自治体間の税源の取り合いという側面があります。
地方の各自治体が大票田とも言うべき東京等大都市圏での獲得活動を展開するわけですから、長崎市出身者はもちろんのこと、長崎市に縁のある方々の心に響く内容を企画し、それを的確にPRすることが極めて重要なポイントとなります。
企画内容は正に各自治体の知恵の絞りどころです。
「ふるさと納税」独特の醍醐味や心地よさに訴える施策を工夫し、それをダイレクトに届く形でPRすることが一番効果的です。応援したくなるような具体的な使途目的と事業を設定し、それをタイムリーなフィードバックを含めて的確かつ直接的にPRする、そうした地道なやり方にこそ、この仕組みが末長く発展するキーファクターがあると思います。
でもやはり「ふるさと納税」の主役は、長崎市を応援したいとの熱き思いを持つ皆さんであり、私たちです。
これだと思う使途目的を選んで、是非にみんなで長崎市を応援しようではありませんか。
Posted by 在京長崎応援団塾 at
03:01
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